変形性膝関節症(以下、膝OA)は、生物学的変化(加齢など)、生体力学的変化(荷重や外的なメカニカルストレス)により、関節の軟骨や骨に変化が生じた疾患です。
過去の報告からも、日本の高齢者における膝OAの有病率が高いことが明らかになっています(Muraki S,Oka H,Akume T. et al.Osteoarthy Cartil. 2009)。
では、メカニカルストレスを軽減させることができれば、疼痛を軽減することができたり、
進行を予防することは可能なのでしょうか?そんなお話を少しできればと思います。
膝にかかるメカニカルストレスとは
メカニカルストレスは引っ張られる力や圧迫される力、ねじれる力などの刺激を指します。
メカニカルストレスには、以下のようなものがあります。
- 体重
- 生活習慣などの背景要因
- 体の構造(身体的な要因)
- 正常から逸脱した運動による(運動要因)
これらの4つの要因が重なりあい、膝への負担を増加させ、膝OAの発症、さらには、進行させると考えられています。
代表的なメカニカルストレス:正常から逸脱した運動

こちらは私の歩いているときの写真になります。
歩くときも、立っているときも、私たちは、床から押される力(床反力)が体の重心(赤点)に向かってかかっています。
床反力はわかりやすく言うと、逆立ちしたら腕が耐えられなくなりつぶされるように体が沈みますよね。その力のことです。
例えば:逆立ちでは、床反力に対して腕の力を使って姿勢を維持したり、うまくバランスをとったりしています。
さて、この緑の矢印から、膝(黒点)までの距離が遠くなるとどうなるか…

例として、黒い線の折れ曲がったところが、膝の位置です。緑の矢印から遠ざかった脚(膝)だと思ってください。このように緑の線から膝が遠ざかれば遠ざかるほど、膝は「くの字」の方向へストレスがかかってしまいます…
この「くの字」に折れる力のことを、外的膝内反モーメント:別名KAM(カム)と言います。
この「くの字」度合い(KAM)は、膝の内側への負荷の指標であったり、
重症度や進行リスクと関係があるといわれています(Miyazaki et al., Ann Rheum Dis. 2002 Andriacchi et al., Ann Biomed Eng. 2004 Mündermann et al., Arthritis Rheum. 2005 Kuroyanagi et al., Knee. 2012 Mochizuki et al., KSSTA. 2022)。
ここまでくると、「くの字」を防ぐことの重要性はイメージできそうですね…
今回はここまでにして、次回は、「くの字」(KAM)に立ち向かう体の組織と膝OAの特徴的な歩行について、お話をしていきます!

