はじめに
日本人の平均寿命について令和4年度は男性81.05歳、女性は87.09歳
それに対し、健康寿命は、男性72.57歳、⼥性75.45歳でした(1)。
健康寿命とは:健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間
つまり、寿命がつきるまで健康過ごすことができない期間が8年以上あると
いうことです。

図のよう矢印のように私たちは年をとっても活動レベルを高めていくことが
健康寿命を延ばすために必要な考え方だと思います。
運動をされていない方では、生活レベルの中で、腰の痛み(運動器の障害)により
上記の矢印を上げることができない要因が多くあると思います。
この運動器の障害を防ぐ、または取り除くことで生活のパフォーマンスを上げていく事が
非常に大切です。
そこで今回は運動器の障害を予防する、防ぐためのモーターコントロールについて
記事を書きたいと思います。
運動器の障害
運動器は骨や軟骨、靭帯、筋など様な組織からなります。
組織は外力により壊れると炎症を起こし組織を修復します。
(※心筋や関節軟骨など修復できない箇所もあり)
しかし、痛くても使い続けるなど修復より体へのストレス(外力)が上回る場合には
修復がうまくいかず、組織は元の構造ではなくなります(変性と言います)。
変性した組織に外力が加わると、以前よりも軽い外力で
損傷しやすい状態になります(Acute-on-chronicといいます)。
この説明はスポーツ障害のみならず、
老化により椎間板の変性、変性に伴い骨や関節が変形し
神経や他の組織へ影響を与え痛みが出る場合があります。
生活活動や運動時の工夫により、健康的に生活できるよう
この変形や変性を予防していく事が
健康寿命を延ばすための考え方の一つだと考えます。
早稲田大学スポーツ科学学術院教授の金岡先生も「腰痛は治療ではなく、自分で治す」
ことを提唱しています。
自分で治すことができると、金銭的な負担を下げることにもつながりますね。
関節の安定性とモーターコントロール、その障害について
関節の安定性について
関節は安定性と可動性(可動域)を持ちます。
関節を安定させるには2つの機能が必要と考えられています。
機能的安定性:単関節筋が働いたうえで(安定して)、
多関節筋が働く運動により達成されると考えられている。
インナーマッスルとアウターマッスルの関係
構造的安定性:靭帯や関節包などによる安定性
正しい動作とは関節が安定した状態で動作ができることです。
この安定した動きには関節の近くの筋肉(インナーマッスル)が事前に活動することで
関節が安定した体の一部に負荷がかかりにくい運動ができると考えられていいます。
モーターコントロール(運動制御)とは
モーターコントロールとは、運動するために必要なさまざまな機構を調整する能力といわれています(2)。つまり正しい動作(関節を安定させた状態で体を動かす)をモーターコントロールすること
が体の一部分への負荷を減らし、痛みを予防した動作を遂行できると考えられています。
関節が安定しない状態
安定性の破綻が運動器の障害を引き起こすことが多く、
運動器の障害は主に牽引力により起きたのか、不安定で起きたのかによるものが多いです。
牽引力によって起きた障害
→Conditioning不良による(モーターコントロール不良)
→多関節筋の過活動(単関節筋の不活動)により牽引力の障害
→構造的な安定性への負荷が増大
→関節や筋へのストレス増大
→疼痛の発生
不安定で起きた障害
こちらはわかりやすく言うと、
→関節の構造が不安定になり不安定に
→機能的な安定性への負荷が増大
→関節周囲の筋や関節への負荷増大(ここでもモーターコントロール不良は起こりそう)
→疼痛発生
従って、体の制御(モーターコントロール)を行うことでこれらを予防、改善できると考えられています。
モーターコントロールのエビデンスと効果について
モーターコントロールのテストは有効か?
luomajoki(ルオマジョキ)らは非特異的腰痛(痛みの病態や解剖学的原因が無い)患者における
運動制御(モーターコントロール)機能障害を評価するためのテストを開発し、
腰痛患者がこのテストを行った場合、健常者と比べて運動コントロールに明らかな有意差な差
があったと報告しています(3)。
慢性疼痛治療に対するモーターコントロールエクササイズは有効か?
エビデンスの推奨度は1B(施行することを強く推奨する)といわれています(4)。
北海道東川町では76名の男女を対象にモーターコントロール機能を高めるエクササイズを週1回3か月実施した結果、身体機能や疼痛、ロコモ度などに改善、向上がみられています(5)。
この研究では関節の可動域の改善なく機能の改善がみられており、体を動かす技能(スキル)の
必要性も示唆されています。

ライフパフォーマンスの向上に向けた目的を持った運動・スポーツの推進に係る調査研究等事業の進捗状況についてより(参照日:2025年6月24日)
終わりに
次回は、モーターコントロールの評価、そして運動についてをお伝えします!
ではでは!
参考文献
(1)chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001363069.pdf(参照日:2025年6月23日)
(2)Anne Shumway-Cook Majorie H.Woollacott:モーターコントロール 運動制御の理論から臨床実践へ.医歯薬出版株式会社
(3)Hannu Luomajoki , Jan Kool, Eling D de Bruin, Olavi Airaksinen(2007)Reliability of movement control tests in the lumbar spine.BMC Musculoskelet Disord.
(4)chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mext.go.jp/sports/content/240326-spt_kensport01-000034962_05.pdf(参照日:2025年6月24日)
(5)chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/content/000350363.pdf(参照日:2025年6月24日)





